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zoom RSS 下浚い

<<   作成日時 : 2009/08/23 13:10   >>

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舞台前の最初で最後の地方さんといっしょに
合わせる、下浚い=いわゆるリハーサルが終わった。

毎回、下浚いのときには、お稽古通りにいかなかったり、
先生からのお直しが次のお稽古でたくさん待ち構えていたりと、
いろんなことがおきるため、
本番前の難所であり、緊張の高まる日だ。

その中でも、やはり一番気になるのは、
地方さんの演奏と合わせること。
下浚いの次に地方さんの演奏といっしょにやるのは、
本番のみ。
お稽古で使っていた、テープと生の演奏ではやはりちがう。
当然とまどう。うまくいかない。
だが、バレエのような西洋の舞台芸術と違って、
リハーサルである下浚いで、曲の途中で止めて、
うまく合うようにやり直すなどということは、ほとんどない。
こうした状況で、邦楽の生の演奏に合わせて踊ることが、
慣れない私たちには大変なことなのだが、
ここにも和の音楽というか、芸術というか
西洋のそれとは違う独特のものがあり、
以前「和と洋の踊りの違い」について書いた
和の文化の持つ「あいまいさ」というものが
影響しているようだ。

下浚いの後のお稽古の時、師匠が
「部分的に演奏が速いからといって少し、
遅くしてほしいというリクエストを出しても
踊り手が思っている調度いい速さというのを
地方さんに(言葉で)伝えようがないんだよ」

とおっしゃっていたことに、邦楽や和の舞台芸術の
の特徴としての「曖昧さ」というものが、語られているようだ。

西洋音楽の場合、音符によってどれくらいその音を伸ばすのか、
曲の全体の速さも数字で示されていることも含めて、
(さらに速度を明確にするためメトロノームという道具まである)
詳細に、明確に演奏の仕方が楽譜に記されていて、
それに基づいて演奏するので、指揮者や、演奏者によって多少の
違いがあっても、同じ楽譜の曲を演奏するときに
速度や拍のとり方といった演奏上の形式的なものの違いはできにくい。
(もちろん表現として考えたとき、曲の雰囲気、音色、
ハーモニーの美しさなどは、指揮者や演奏者によって変わる)

ところが、西洋音楽の楽譜のように、速さから何拍伸ばすかなどの
細かい演奏の仕方や数字が表示されていない邦楽の場合、
演奏者同士の「感」や、「阿吽の呼吸」によって
演奏が進むところが大きい。
西洋音楽に比べ、枠組みがあいまいな状態で、
演奏者にゆだねられているところが大きい。
そのため、西洋の音楽以上に、演奏者による違いが大きいことになる。
(だいたい指揮者というものが、存在しないのだから)
速さの遅い速いという感覚も人によってかなり違うし、
お唄の方の音の伸ばし加減も
西洋の言い方ですると、同じところを全音符分伸ばす方もいれば、
四分音符分ぐらいで止めるというぐらいの違いがおきたりする。

それゆえに、今までのお稽古のテープの曲と違う速さや、
間のとり方などに直面し、それに合わせて踊る私達は、
もうあたふたしてうろたえてしまうのだ。

けれど、これは、先ほどいったように、西洋音楽のように
「この曲はこの速さです」という表示された
決まっている基準がないので、
演奏者同士だけでなく、演奏者と踊り手も互いに、
目に見えない以心伝心のような感覚によって
舞台を築いていくものなのだろう。

日本に昔からある、「塩梅」とか、「程よい加減」という
曖昧で言葉や形にできない、でも、微妙な違いで左右される
適切さがそこにある。それは、時間をかけて身につけられるもので
数字や、言葉で表現できない「感」のようなもの。
日本の芸術や、職人芸のようなものは、
こういう、「感」によって支えられているのだろう。

曖昧さの中で、うまく調節する感がまだ身につけられていない
私たち素人には簡単にはいかない。上に下にの大騒ぎ。
地方さんの演奏にうまく合わせられようにするということが
下浚いのあとの、最難関の一つとなるのだ。

この一週間で、できることは、下浚いのときの地方さんの
録音テープをひたすら聞いて、身体にその演奏をなじませ、
その演奏の仕方に慣れること。
曖昧さの中にある、微妙なものを取得できる「感」を
少しでも身につけられるよう努力しなければ

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
いつも楽しく読んでいます。
福間のてっちゃん
2009/08/24 22:31
ありがとうございます!
福間て福岡県の福間ですよね。
故郷の懐かしい、地名に思わず反応してしまいました。
yukiemi
2009/08/24 23:54

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