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zoom RSS 二つ目の誕生日

<<   作成日時 : 2010/03/05 17:02   >>

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体調がすぐれなかったり、いろいろあって
ずいぶんブログの更新がご無沙汰でした。
遅くなってしまいましたが、書の展示会には、
たくさんの方々に足を運んでいただき、ありがとうございました。
この場を借りて、お礼を申し上げます。

さて、

3月5日は、私にとって、第二の誕生日です。

自分の意思に関わるところなく
(当たり前ですが)この世に生を受けた
第一の誕生日9月9日に対し、この3月5日は自分の意思で、
日本舞踊の名取り「藤間喜也(ふじまゆきや)」
として生をいただいた誕生日です。
(同じ日に名取となった同門の達乃さんは、双子です^―^)


師匠達也先生とご相談して、いただいた「喜也」というお名前。
「自分が踊る喜びをいつも忘れないよう」又
「見る人に喜んでいただけるような踊りができるよう」
という願いを込めた「喜」に、
達也先生のお名前からいただいた「也」からなるもので、
このお名前をこれからの拠り所として、師匠の下で
お稽古に一層励んでいきたいと名取式の日に、
決意を新たにしたことを覚えています。

今思うと、そのときの私は、
自分の名前に込めた願いが、どれほど容易なことでは
ないのかということが、しっかりと認識できていなかったようです。
「喜」の文字に込めた
「見る人に喜んでいただけるような踊りができるよう」
というのは、遠いところにある自分の目標だと
思っていましたが、
「自分が踊る喜びをいつも忘れないよう」ということについては、
「いかなるときも踊る喜びを感じる」ということの
本当の難しさを深く解してなかった私だったのです。
そして、その甘さを痛感するようなことが
名披露目の舞台の日に起きました。

それは、まるで踊りの神様から、
「これでもあなたは、踊ることの喜びを忘れずに、
踊り続けることができるかい」
と試されているようなできごとでした。

詳細は書きませんが、名披露目の舞台といえば、
一生に一度の大切な舞台。
人生における結婚式の披露宴のようなもの。
その日に、突然の災害か何かが起きて、
披露宴に出席してくださる筈だった方たちが
ほとんどこれなくなったという状態に近いことが
起きたと考えていただくとよいかと思います。

そして、何よりも
こんな大切な舞台の日に、不可抗力で、そういう状態が起きると、
それは、まるで自分がこれから踊りをやっていくことを、
運命もしくは踊りの神様からから
「あんたは踊りなんか続けるべきじゃないんだよ」と
否定されたような気がして、よけいにショックでした。

一番晴れやかな日であったはずの日が、
私のとって最もつらい日となりました。
憧れの「藤娘」のお支度をしても、
舞台一杯に広がる藤の花を見ても、
気持ちは沈むばかりで、ややもすると
そこから逃げ出したいという気持ちになる
自分を抑えるのが精一杯で、
踊り終わっても気持ちは晴れませんでした。
幕が上がって舞台で踊ってる間だけは
藤娘として踊り通すことができたのが不思議な気もします。

けれど、時間が立って考えると、それは
踊りの神様から否定されたり、
見捨てられたりしたのでなく、
やはり、踊りの神様からの厳しいテスト、
もしくは洗礼であったのかもしれないと思うようになりました。
私がお名前に込めた願いに対し、
ほんとにその覚悟はできているのか、いかなるときも
踊る喜びを忘れずにいることがどんなに大変なのかという
ことをわからせるために。

踊りの神様が用意した名取になれるかどうかの関門。
それが、あの名披露目の舞台のできごとであったとすれば、
あの時「藤娘」を踊り通し、その後も踊り続けた私は、
一応その関門をパスすることができたのかなと
都合よく考え、踊り続けていいのだと今は納得しています。

3月5日
お名前をいただいたこと、今踊っていられることに対し、
師匠を始めとし、周りの方々に感謝し、
お稽古に励むことを誓う記念日。
(お名前をいただく話を先生がされたとき、
ご自分のことのように泣いていっしょに喜んでくださった
仲間の存在も忘れられないことです。詳しくは
http://app.blog.ocn.ne.jp/t/trackback/31894/21243167
そして、
名取になった日の決意や、あの名披露目の
舞台でのことを思い出す日。
いかなるときも踊る喜びを忘れないという、
「いかなる」には、想定外の自分では
どうしようもない状態も入っていて、
そのとき自分がどう踊りに向き合えるかと
いうことなのだということ。
そうしたことをしっかりと認識する日。
それが藤間喜也としての誕生日なのだと
思っています。



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
喜也さま、こんばんわ。お加減の方は、少しは宜しいですか?
名披露目の日の出来事、詳しくは分かりませんがとても辛い思いをなさったのですね。そして、それを乗り越えて踊り続けてらした・・・。名披露目の舞台を通じて、二度とお扇子なんて持たないわ!!と決心して、24年も踊らなかった私からすると、ずっとずっと凄い事です。25年目にして、同じ舞台をやり直した自分もある意味すごいけれど・・。色んな事を乗り越えたからこそ、見える世界もあるはずです。これからもどうぞ頑張って下さいね。同じ九州女として応援しています!!
星子
2010/03/07 18:56
星子さま、身体のことをお気遣いいただきありがとうございます。
名披露目のことは、一番に成功し無事に終わってほしいとずっと願っていたことが、あってほしくないことがおきたというために、ほんとに運命から捨てられたような気がして、しばらく立ち直れませんでしたが、心底好きなことを続けていこうとするために、多かれ少なかれ誰しもが、何かを乗り越えていっているものなのかもしれません。
私のこともそんな中の一つにすぎないものなのだと今は思えるようになりました。星子さんのコメントを詠ませていただいてよりそのことを感じました。
こんな風に離れた方と通じ合えると、ブログをしてよかったと思います。
yukiemi
2010/03/10 00:18

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