夏惜しむ

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  薄物の仲居きりりと古暖簾
  品書きの墨書貴(あて)やか夏の膳


   *薄物;夏の着物。夏の季語




処暑を迎えた今週、急に秋の気配を感じられるようになった。
何だか例年よりも早く、季節が移り変わっていくようだ。
極暑の夏には、辟易する感はあったけれど、
夏に名残惜しさを感じるのは、
8月になってからは、浴衣会の舞台のお稽古も佳境のため、
あわただしく過ぎ、夏の風情を楽しむ余裕もあまりなく、
気がつくとあたりに、秋の気配が漂っているせいもあるだろうか。

そんな8月の始めにお稽古の合間に、お稽古場のMちゃんと
浅草の駒方橋のすぐそばにある「浅草むぎとろ」
というお店に食事に行ったことは、
久しぶりに、日本の夏の風情を味わう豊かなひと時をすごした
貴重なものとして、この夏が終わってしまわないうちに書き記しておこう。

お料理は、とろろをメインにした、夏野菜をふんだんに使った
体にやさしそうな懐石御膳。
普通に食する野菜なのに、普段のものと違う微妙な味。
お料理が季節感豊かであるだけでなく、
盛り付けから器まで、繊細で美しく、見るだけで楽しい。
写真は、始めの方に出てきたもので、実は、もっとかわいらしい
容器や、美しい趣向のものがコースの中ほどに出てきているのだが、
そのころは、私も、Mちゃんも、おいしいお料理を食べることと、
おしゃべりに夢中で、携帯で写真などとっている場合ではなかったのだ。(^^:)

そして、古くからあるこういうお店は
お料理やお膳だけでなく、いろいろなところが
細やかにいきとどいている。

配膳をしてくださる着物の仲居さんの
薄物(夏の着物)の着こなしも涼やかで、着慣れた着こなしできりりとした
立ち居振る舞いも好感がもてる。
(いくらお料理がよくて、名前が知られているお店でも、
お店の人の着物の着方が、すっきりと品よくないとやはり興ざめ
してしまう)それぞれの膳につけて下さる、
お品書きも和紙に運筆鮮やかな墨書だ。
こういうきれいな文字を書くお店の方が、ゆかしく思われ、
お料理も一層おいしいものに思える。

いずれにしても、お料理だけでなく、それをとりまく空間を
大切にしているもてなしの心のいきとどいている和のお店で
心豊かに、夏の風情と味覚を味わうことができた。


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