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zoom RSS 花道は好きだけど

<<   作成日時 : 2009/09/06 18:56   >>

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終わってしまった会について、ちょっと書き加えて
おこうと思います。
踊りの自分自身のでき不出来はさておき、
今回は、花道が一つの難所ともいうべきものになりました。

私は基本的に花道からの出というのが、
舞台での板付きで始まるより好きです。

舞台での板付きというのは、広い舞台の真ん中に
放り出され(離れていても、舞台上に地方さんはいるのですが)
幕があくまで、数分暗い中で孤独に耐えないといけません。
この始まる直前の数分の孤独は、非常に長いものに感じられ、
緊張感も高めます。
特に「藤娘」のように、舞台効果のため、幕が開いて
地方さんの演奏が始まっても最初の出まで暗転状態で、
暗闇の中で藤の枝をかついでいるときの孤独と緊張といったら。
私は、永久にこの闇の中に置き去りされるのではないかと
いう気になるほどです。

それに比べると花道からの出というのは、
鳥屋の揚げ幕を開けてもらった瞬間
花道から、舞台までぱーと明るく照らされ、
全てがこれから自分が踊るために準備され
待ってくれているのです。その舞台を見渡せて、
(舞台で踊っているだけだと、自分の踊っている舞台
を客席側からみわたすことはできない)
そこに向かって出て行くことができます。
自分がその光のあるほうに、迎えられているような
気持ちの高揚がありますし、花道の揚げ幕があくときの
「シャン」という音も好きです。このシャンという音は
歌舞伎座でお客としてお芝居を見ているときにも、
「だれか登場してくる」という期待を感じる好きな音です。

それに加えて、揚げ幕が開く直前まで、鳥屋の内で
後見さんがそばにいて、幕の開けるタイミングを
待っていてくれますので、闇の中に置きざれにされる恐怖を
味わわなくていいのです。^ー^
(結局、暗闇と孤独の中で緊張に耐えるのがいやなだけの
ただの意気地なし?^^;)

そんな、花道の出の好きな私が、この「連獅子」の
花道の入りは「こわい」ものだったのです。
連獅子の花道については、「花道でじっと待つつらさ」で
達喜会前に少し書きましたが、実は、もう一つ
私が、緊張し、怖気ずきそうになるところがありました。

それは、花道の七・三のところから、後ろ向きのままで、
花道の終わり、つまり鳥屋口までドドドッと疾走し続ける
というところ。
お稽古の振りいれのとき、師匠から
「ここは、後ろ向いたまま、揚幕の中で後見さんが
止めてくれるまで、花道をずっと走り続ける」と
いわれたとき、その状況がいま一つイメージできなかったのですが、
後ろ向きに走るのって、ものすご−くこわいです。
(一度やってみてください^^;)
しかも、幅の狭い花道。
始めは、まっすぐ後ろ向きに走れず落っこちてしまったらどうしょうと
いう心配がありましたが、
実際にやると、まっすぐ走ることより何よりも、
とにかく、後ろを振り向くことなく走り続けることの
恐怖が一番なのです。
これはもう、人類始まって以来の危険から身を守る本能的な
ものだと思います。
途中でものすごく後ろを向きたくなる。
そして、後ろ向きで少しずつ加速して走っている自分が
怖くなる。
それに、この花道での後ろ向き疾走は、お稽古では
やらないので、ぶっつけ本番です。
下浚いで、実際の花道より短い距離で受け止めてもらう練習は
一度だけ後見さんがやってくださいましたが、花道を走るときの
距離感、速さの度合いはわかりません。

当日の本番前の場当たりでも、花道での
「後ろ向き疾走」の練習はできませんので、ことこれに関しては
「ここからあそこまで後ろ向きに走るのね〜。」と眺めるくらいしかできません。

達也先生は、笑顔で
「大丈夫、大丈夫。今まで、花道から落っこちた人は
見たことないから。本舞台で毛振りの鬘が長いから
それを走ってるときにふんずけて
途中でこけちゃった人はいるけどね。
今回は、素踊りで鬘もないから。」
とおっしゃっていましたが・・・・・・


いよいよ本番。
あの花道を走る短い時間、様々なことが
私の頭の中を駆け巡っていました。
以下、その日の花道後ろ疾走の実況中継?

足拍子踏んで、いざ後ろ向き疾走開始!
とにかく、よけいなことを考えず、自分の前にある
花道の板目を見て、まっすぐ走り続ける。
花道はライトで照らされているので、板目はよく見える。
とりあえず、曲がらずまっすぐ、走っているようだ。
花道半分あたりのところで、ひやりと一番の恐怖を感じた。
「まだ、客席の半分のところになってない?
残りをこのスピードで走り続けられる?
この勢いで加速したら途中でひっくり返りはしないか」
とはいえ、今さら、スピードを落とすわけにもいかず、
せいぜい、加速しないように心がけるぐらい。
3分の2ぐらい過ぎたあたりで
「とにかく鳥屋口にたどりつけば、転んだっていいんだから」
とやや開き直り気味になり、ちょっと気持ちが落ち着き、
そのまま走り続けた。
鳥屋の闇に体が入り、奥の暗闇で、腰の辺りが何かにはまった!
それが後見さんが止めてくれた瞬間だった。

心からほっとしました。

受け止め役をしてくださった後見の花柳昌鳳生さん
ほんとにありがとうございました。

でも、本舞台でやる場合は、このとき、
重くてなが〜い毛振りの鬘つけてるんだから
もっと大変なんですよね。
連獅子てほんとに大変な踊りだな。
そして、今回、初めてのことがいろいろとあった花道でした。


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