東都八景四季賑

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 土曜日、東京文化発信プロジェクトの
 主催している催しの一環である、
 日本舞踊「東都八景四季賑」を
 国立劇場で観て来ました。
 現在、各流派で活躍されている
 舞踊家さんのそろった豪華な舞台で、
 江戸の名所と言われる所を
 四季折々に合わせて踊り巡りをする
 という楽しい趣向でした。
 

 
 いうまでもなく、どれもすばらしかったのですが、
 私がとりわけぐっときたのが、
 尾上紫さん演じる人形振りの「櫓のお七」でした。
 最後の鐘をつくところ以外は、文楽の人形に扮して、
  お七を演じるので、顔も瞬き一つしない無表情で、
 人形特有な不自然な身体の動きと制約の中で
 踊り続けるわけですが、
 舞台が進むにつれ、動きも激しくなり、
 お七の情熱と切実な思いが体全体から伝わってきます。

最後のクライマックスで、人形から人間のお七になり、
雪の中、必死に櫓に駆け上るお七を観ているとき、
人間だとか、人形だとかそういうものを超えて
ただお七の狂おしいほどの思いだけが舞台に
存在し、見ている方も胸が痛くなるような一体感を感じて
いたように思います。
鐘をついた直後の櫓に立ったときに見せた刹那の
思いつめた、哀しいなんともいえない表情は、
それまでが、人形として生身の表情を一切見せない
だけに、一層鮮烈なもので、見ていて目の辺りが熱くなって
潤んでしまいました。

そして、「お七」をあんなふうに
踊ってみたいと強く思いました。

以前から、この人形振りのお七をいつかやってみたいなと
思っていましたし、歌舞伎の役者さんや、他の舞踊家さん
が舞台で踊っているのを見て、
「すごいなあ。ああいうふうに踊れたらいいだろうな」
と思ったことはよくありますが、自分とは別世界のこと
という感じでした。
人の踊りを見て
「あの演目を、あんなふうに私も踊りたい」と
はっきり思ったのは初めてかもしれません。

いつかやれたらいいなというものが、
必ずやりたいというものになった日でした。

踊りを見て、目がうるうるということは
私には、めったにないことで、人にいうのも
恥ずかしかったのですが、ちょうど
お稽古場の方たち数人と、会場でいっしょになって
終わった後に、口々に同じようにお七を見て、目がうるうる
していたといっていたので、皆さん心を打たれていたようです。


それから、
この東京文化発信プロジェクトは、他にも伝統芸能
を鑑賞できる催しをいろいろと企画してくれています。
詳しくは
http://www.bh-project.jp/
のサイトを訪ねていただいて、これを機会に
たくさんの方に、伝統芸能に触れていただきたいなと
思います。

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